平成21年1月12日(祝)シェーンバッハ・サボー(東京都千代田区)にて、5-D Japan発足記念講演が開催された。主催者が想定していたよりもはるかに大勢の600人を超える参加者が全国各地から集まり、冬真っ盛りな外の寒さとは対照的に会場内は熱気であふれていた。
開会のファンファーレが鳴り響くかのようにオープニングビデオが会場に流れ、5人のファウンダーが登壇した。まずファウンダーを代表して福西一浩から開会の辞が述べられた。これまで5名が所属していたスタディーグループで受け継いだものを、グループの垣根を越えて自由にディスカッションできる環境を作り、そしてそれを歯科臨床家に伝えていくという5-D Japan設立の理念が語られた。
講演のトップバッターとして福西一浩が「Before Selecting Implant ~歯牙保存の立場から~」と題して演じた。インプラント治療は確かに画期的な治療法であり、予知性も高くなってきているが、決して天然歯に勝るものではない。歯牙を保存するという立場から、歯根端切除術、意図的再植、自家歯牙移植の長期症例を提示し、インプラント治療を選択する前にいかに天然歯にアプローチするかを語った。
次いで北島一が「包括的治療に必要なPeriodontal Tissue Management Strategy」のタイトルで講演を行った。さまざまな問題を抱える患者に対し審美的で長期的に安定した治療結果を得るために、前歯切端位置の設定、骨ラインの平坦化、軟組織のマネージメントをいかに戦略的に行っていくかを、フローチャートに沿ってシステマティックに解説した。
午後からは船登彰芳から5-D Japanの今後の活動が紹介された。年間延べ160時間の研修会を行うこと、今春からウェブサイトを開設、会員はインターネットを介しコミュニティーに参加し、症例の解説、症例の相談、器具・機材の情報提供・購入などの特典を受けること等が説明された。
引き続き船登彰芳が「4Dコンセプトに基づいた審美インプラント治療」と題した講演を行った。先ごろ出版された石川との共著である『4-Dコンセプトインプラントセラピー』の出版記念でもあるこの講演で、審美的なインプラントの治療結果を得るために、さまざまな治療のオプションとそれを行うタイミングを科学的根拠に基づいて計画的に立案し、遂行することの重要性を説いた。
続いて石川知弘が「インプラント周囲組織の審美的再建」をテーマに講演した。重篤な骨欠損を伴う症例に対するインプラント治療において、審美的に満足な結果を得た症例を示した。そしてその際に重要となる、理想的な補綴物を装着するために必要な骨の量、形態を予測し、それを目標に骨再生を行いまた軟組織を再建していくというコンセプトについて語った。
最後に南昌宏が「修復物に自然感を与えるために」と題して講演した。近年進歩が著しいセラミック材料やCAD/CAMによるレストレ-ションについて、数値データを示しながら各材料の特性を解説し、より自然な修復のためにそれらの術式、マテリアルをどのように活用していくかを解説した。
講演会閉会後に同会場で、各ファウンダーが所属していたスタディーグループの関係者を始めとする多くの歯科関係者による懇親会が行われた。世界的な不況、長年低迷する歯科界の中で、現状を打破する突破口となりうる5-D Japanの力強い胎動を感じた一日であった。
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