AO2012 in Phenix 報告記
2012年3月1日から3月3日の3日間、アリゾナ州フェニックスのコンベンションセンターにてAOのannual meetingが開催されました。
今年のテーマは「technology to practice」、その名の通りまさにインプラント時代が変革を迎えようとしていると感じさせられるプログラムでした。
第一日目 朝 Corporate forumが開催され、11社が競合するように新製品の紹介や新しいコンセプトのレクチャーを行った。素晴らしい演者ばかりでどれも聴講したかったが今回はBIOMET 3I, KEYSTONE dental, Zimmer dentalを選びました。
Biomet 3iでは”Soft tissue contouring Surrounding immediate placement in aesthetic zone”の演題でDr. AlfonosoとDr. Federicoが掛け合いをしながらプレゼンテーションをするスタイルで行い、前歯部審美インプラント治療を行うときに歯槽骨の唇側に遅延吸収型の骨補填材を用いることが有効であると講演されました。
Zimmer dentalではVertical Bone augmentation Techniques incorporating CurV InnovationでDr.Salamaが垂直的に骨造成をするための新しいマテリアルとして歯槽骨の形態に合わせたメンブレンの症例を提示した。DR船登、DR石川の症例、論文を引用し彼らのような素晴らしい仕事をおこなうために開発を行ったと紹介しました。
Keystone dentalではDr.ChristerがBioactive membranes for Guided Bone Regenerationの演題で講演した。Gore membraneから現在のmembraneの開発の歴史とこれから求められるmembraneの理想像と生体親和性の高いdynamatrixを紹介していました。
ランチタイムにはブース巡りをおこなった。クインテッセンス出版のところには4-Dコンセプトが目立つように正面の真ん中にたててあり、ついつい私も購入させていただいた。帰国後船登先生、石川先生にサインをおねだりしようと不純な動機が芽生えてしまいました。
午後からは Dr.Marco, Dr. Nigel, Dr.Salama, Dr watanabe,Dr.Ole , Dr Homaの6人で opening symposiumが行われた。テーマは前歯部の審美障害のある患者のインプラント治療で治療のプランニングから術前処置(軟組織、硬組織)と臼歯部の垂直的な歯槽骨の造成でした。
日本から渡辺先生がNon-Grafting Solutionsというテーマで矯正治療で行う骨造成のテクニックを症例を通じて講演した。講演の最後に昨年の東日本大震災での様々な国の多くの方から支援をいただいたことに感謝をのべ、自分の医院が原発問題で被災していることを述べられると会場は厳粛な雰囲気になった。「この壇上にあるのがたくさんの人のつながりとご支援によるものである」ということをのべて講演を締めくくられました。
2日目は本会場にてsurgical track とrestorative trackが同時に行われた。Surgical trackではTissue engineeringがテーマであった。Dr. Myron がTissue engineering の基礎について解説しました。続いて5人の演者はそれぞれGrowth factorを用いた治療結果と研究を照らし合わせながら症例と材料の選択についての見解を述べました。取り上げられたGrowth factorはrh PDGF-BB、EMD、rh BMP-2で、今回興味を引いたのはEMDがamerogenesisではなく血管新生に関係しているということでした。rh BMP-2はinfuseを使ってのリサーチと臨床結果の報告があり、治療術式の確立ができたと思わせる内容でした。午後はClinical innovations、Oral scientific research、Oral Clinical ResearchのsessionがありClinical Innovationの部門でWilliam R. Laney Award最優秀賞をUCLAの小川先生が受賞された。テーマは” Effect of Ultraviolet Photoactivation of Titanium on Osseointegration in a rat mode”でした。講演会場は立ち見が出るほどの盛況で現在のインプラントの表面正常における革新的なアプローチであると感じさせました。
スライドの中ではUltravioletを照射した後の各種インプラントのヌレの変化とそれに伴う細胞凝集の変化、そしてBICの変化について報告された。動画を駆使し、切片写真を用い、研究データをわかりやすくまとめられた講演でした。聴講されたドクターは非常に興味を持ってプレゼンテーションに魅入り、小川先生のテンポの良い口調に時間が経つのを忘れさせられました。
30分の講演であったためより詳しい内容を聞きたかったのか聴講者からの質問が絶えませんでした。
その他のリサーチセッションやポスターセッションでは海外で精力的に研鑽を積んでいる日本の若い先生方の発表が目立ち心強く感じました。
最終日はdigital dentistryのsessionとclosing symposiumが行われました。
今回の講演ではdigital化が歯科医院にもたらす変革、そして近年問題になっている歯科技工士の減少や資源の枯渇といった歯科を取り巻く環境の変化にも触れられ、digital dentistryが必要不可欠になるということが伝えられました。SessionではCBCTと3Dの画像の重ね合わせ、それに口腔内スキャナーを組み合わせることで歯列、補綴治療を行った後の顔貌の変化などをある程度予測することができるようになり、患者とのコミュニケーションのソースとしても重要であると述べられました。またこのSessionのkeynote speakerであるPing Fu(President and CEO, Geomagic )は現在のdigital化CADCAM技術がもたらした世の中の変化と遠隔地でのプロダクツの製作、あるいはカスタムな製品の製作といった技術を紹介し、これからの歯科治療においてますますdigital dentistryが発展していくことを示唆しておりました。
午後からはThe Art of Patient rehabilitation というテーマでsession が行われました。その中でもDr Grunderの講演が圧巻でした。Dr.Grunderは自分が行ってきた前歯部のインプラント症例を術前状態で分類し治療法を体系化し、10年以上の経過をつぎつぎと提示して会場を圧倒した。また他の演者もmultipleの欠損における審美ケースに対してdigital dentistryを駆使して行ったすばらしい症例報告を行いました。
今回の学会を通じてティッシュエンジニアリングの進歩とdigital dentistryの時代の幕開けを感じさせられた大変意義のある学会参加と感じることができmした。5-D受講生の皆様もAOのみならず、世界中の第一線の先生の講演が聴ける学会には奮って参加していただきたいと思います。そして今5-Dで学んでいることが世界の第一線であることを改めて認識していただくと明日への仕事のモチベーションがあがると私は思っています。私事ではあるが講演の前日に小川先生とお食事をご一緒する機会がありました。講演の前日であったにもかかわらずお時間を割いて交流の場を持っていただいたことに心から感謝し、あらためて心からお祝い申し上げます。
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